デンマーク・トマソン選手のお話2

このオルセン監督には、来日早々にこんなエピソードもあった。

デンマークチームが来日し、ホテル入りした初日のこと。

ホテルでの歓迎セレモニーを受けた後
再度、宿泊先のホテルの支配人と料理担当のコック長が監督の部屋へ挨拶に訪れた。

彼ら、支配人とコック長には一つ聞いておきたいことがあった
彼らには一つ『心配のタネ』があったのである。

それは食事の問題であった。

ホテル側も選手たちには万全の状態で試合に臨んでほしかった。
食事が口に合わない・・・それが原因ということは避けたかった。

しかし他国の宿泊先ホテルに連絡をとったところ、食事でかなりもめ、
文句を言われたらしかった。

口に合わない!母国の材料で調理してくれ!etc.

 

そこで、支配人は通訳を介して監督に聞いてみた。

支配人「食事で何かご要望はございませんか? 」

オルセン監督は答えた。

オルセン監督「一切お任せします。そちらが用意される料理を我々はご馳走になります。」

この言葉に驚いた支配人とコック長。

ホテル側「いや・・やはり母国デンマークの食事の方がいいんじゃないでしょうか?」

オルセン監督「和歌山をキャンプ地に決めたときから食事もお任せしようと私と選手たちは言っていた。
選手も理解している。全てをあなたたちにお任せします。」

 

それでも不安が晴れない支配人がこう続けたところ、

支配人「あの~~他の国とかのホテルにお聞きすると・・・食事はやはり母国のほうが好まれると聞いたものでして・・・。」

オルセン監督はキッパリ言った。

オルセン監督「他国は他国、我々は我々です。」

この言葉に支配人は「ホッとした。滞在中は無事に過ごせていただけると思った。」そうだ。

 

オルセン監督「我々は料理をあなたに全てお任せします。よろしくお願いします。ところで、 和歌山で有名な食材は何ですか?」

コック長は質問の意図がわからなかったが、
「和歌山では魚が有名です。 カツオという魚が特に有名です・・・。」
と答えた。

するとオルセン監督は微笑みながらコック長に言った。
「それでは、そのおいしいカツオを我々に食べさせてください。あなたが腕をふるって、おいしいカツオを選手たちに食べさせてやってください。」

この言葉にコック長は大変感激していた。

 

最初の食事を迎えた時、ある選手が通訳に聞いた。

選手「デンマークでは 食事するとき 神への祈りをするのだが、日本では食事始める時に何かするんですか?」

デンマークは国民の9割がプロテスタント†、(゚д゚)である(福音ルーテル教)。
神への祈りを終えてから食事を始める。
この選手は日本ではこれの代わりに何かするのか?と聞きたかったのである。

 

答える通訳。

通訳「日本でもキリスト教の信者は神に祈ってから食べるけど、
大抵は手を合わせて『いただきます。』と言ってから」

すると彼は・・・

彼は両手を合わせた、その姿のまま、コック長の方へ向き頭を下げた。
それを見ていた他の選手たちも彼にならい、手を顔の前で合わせた。
この時から、食事のたびに手を合わせる選手たち。

コック長は言った。

コック長「今の日本人でも『いただきます』を言え無い奴が多いのに、外国の人にされたら…無茶苦茶嬉しかったですよ。 」

 

この最初に手を合わせた選手の名を・・・

彡彡’ミ
( ´_ゝ`)
(    )

ヨン・ダール・トマソンといった。
/FW。代表では9番。
1976年8月29日生・182cm・74kg

このトマソン選手。今大会、デンマークを決勝
トーナメントに進出させた立役者である。

今大会前まで、オランダのフェイエノールト・ロッテルダム
に所属し(現在ACミラン在籍)、日本代表の小野選手とチームメイトで
あったため日本でもある程度名前を知られていた選手である。

彼は、世界でも有名な一流プレイヤーである。