兄貴へ、愚弟より。
あんたが死んで4年になる。記憶が日に日に薄れていっていたのが解る。
他力本願だけど、2ちゃんねるのこのスレを見てあんたの事を思い出した。
13も年が離れてたせいか、あんたとはケンカをしたことが無かったな。
いつも俺が殴られて、泣かされてた記憶しかねーよ。
俺がヘッドホンしながらゲームしてた時に突然怒りながら怒鳴り込んできて
「何度も電話してんのになんででねぇんだこのツ○ボ!」とかわめきながら俺の電話を壁に叩きつけて壊してくれた事も覚えてる。
いまだに弁償してもらってないからな。
あんたが病気で倒れ、そして死ぬまでの4年間、俺はあんたにほとんど会いに行かなかった。
それでもあんたは俺が見舞いにいくとめちゃくちゃ嬉しそうな顔して
「元気か、体壊してないか」とか声をかけてくれたな。
俺が大学を中退して仕事するって言った時、あんたは本気で怒って抗議したな。
「お前の未来はお前のために使え」ってな。
俺が大学を出て遠くに働きに行く時、あんたはお守りをくれた。
その仕事に挫折して1年でむざむざ帰って来た時、
あんたはにっこり笑って 「お帰り。一人は辛かったか?」ってねぎらってくれたな。
あんたが生きてる時はあんたの言葉の重さとか、ちっとも考えてなかった。
あんたの目が見えなくなり、耳が聞こえなくなって、俺達と話が出来なくなっても、
あんたは俺達が来たら喜んで「元気だったか」っていってたな。
ごめんな、兄貴。
あんたが死んだ日、俺は彼女と二人で遊園地いってた…
その日は親が「病院に一緒に行こう」って行ってた日だったんだけど、
俺は彼女と遊びに行くのを優先しちまったんだよな。
後悔しても始まらないけど、あん時行ってれば良かった。悔しいよな。
あんだけうざいと思ってた兄貴なのに、4年経った今では、あんたが残してくれた言葉ばっかりが実感出来るよ。
俺があんたの死に目に遭わなかった事を、あんたは怒らないだろうと思う。
「自分の未来は自分の為に使えよ」って笑って済ますんじゃないかと思う。
それは俺の思い過ごしかもしれない。
自己満足かもしれない。
けど、俺はそう思える。くそったれ、俺は一生あんたに勝てねーよ。
帰ってこいよ。そしてまた一緒に焼肉食いたいよ…