ボクは生きていたかった

ボクは生きていたかった
※犬(主人公)視点 ペットの殺処分について

ボクは捨てられた
大好きだったあの人に捨てられた
けどきっと迎えに来てくれる
だってボクはとても愛されてたんだ
いつだって一緒にいたんだ。ボクが眠るまでず~っと頭をなでてくれたよ
ボクは生まれてきて本当に良かった、って思ってたんだ。

だけど・・・・

あの人はだんだんボクの顔を見てくれなくなったんだ。
だからボクは、『こっちを向いて!』って一生懸命あの人を呼んだんだ
でも・・・あの人には伝わらなかったんだ。

ボクの気持ち

あの人は黙ったまま、ボクを車に乗せて山奥にボクを置いて行ったんだ・・・。
ボクはあの人が見えなくなっても叫び続けたよ
声がかれて出なくなった時、保健所の人に迷子犬として、ここに・・・センターに連れてこられたんだ・・・
お金儲けのために子供をたくさん産まされて体がボロボロになったから連れてこられた繁殖犬や、
大きくなりすぎた、流行がすぎてもう飽きた、といって連れてこられた子達・・・
赤ちゃんが生まれたから連れてこられた母犬は泣きながら子犬たちにおっぱいをあげてたよ。
飼い主に不要犬として持ち込まれた犬は狭い部屋に追いやられ、即日中に
二酸化炭素ガスで苦しみもがきながら窒息死させられてしまうんだ・・・・
皆・・・・もういないよ・・・・・・・

ボクみたいに迷子として連れてこられた犬は数日間だけ飼い主の連絡を待って迎えに来なければ・・・・・・
窒息死
お願いです。ボクを、ボクを迎えに来てください!
あんなに楽しかったのにどうして?
『お前は宝だよ』って抱きしめてくれたのになぜ??
あの時ボクは愛されていた・・・・・よね?
ボクと過ごした思い出やボクの存在すらも無かったことにしてしまうの?
ねぇ、職員さん、そのボタンを押したらボクは天国に行くの?それとも地獄?
職員さんはため息を一つついて
ボタンを押した
もしも最後の願いが叶うなら
大好きなあの人の腕に抱かれてあの人がつけてくれた名前を呼ばれながら死にたかったなぁ・・・・
ねぇ、誰か教えて。・・・・・・・ボクは
ボクは生まれてきちゃいけなかったの・・・?

・・・さようなら