731 名前: おさかなくわえた名無しさん [sage] 投稿日: 2007/09/13(木) 00:13:22 ID:pTwC+efk
ぶった切って失礼します。
カンボジアPKOの話が出たので、ROMってた者だけど書いてみる。
自衛隊がカンボジアに行った年の翌年、観光に足を伸ばした印度のある町で。
その町から日帰りで行けそうな、目当ての遺跡のある町への鉄道チケットが
取れないかと、ツーリストインフォメーションでいろいろ聞いていたところ
後ろから声を掛けられた
「日本人か?」
振り返ると背丈190cmはあろうかと思われる、サングラスにワイシャツ・綿パン、
オールバックで髭まで生やした印度の偉丈夫。
「○○まで行きたいのか?」
…てっきり観光地によく居ると噂に聞いた
ヤウ゛ァイ人…にしては英語が丁寧で、様子も良い御仁。
「ちょっとこっちについて来なさい」
インフォメーションをちらりと見ると、係の兄ちゃんが
「んだんだ、そうすっとええだ」みたいなスマイル。
半信半疑でついて行くと、駅のチケットオフィスへ。
当時まだ、外国人用と自国民用で切符売り場は分けてあったのだが
ずんずんと脇のドアからチケットオフィスの内側へ。
732 名前: おさかなくわえた名無しさん [sage] 投稿日: 2007/09/13(木) 00:15:33 ID:pTwC+efk
承前。
その印度の偉丈夫は何やら中年の駅員と話している。
すると駅員がこちらを見て
「明日の朝7時に出る急行がある。
帰りは特急で向こうを16時発、ざっと6時間は見物が出来るだろう…○○ルピー」
予想より遥かに安く、予約も入れていないのに急行+特急で発券してしてくれた。
謝意を呈すると偉丈夫氏、にこやかに
「まあ、明日無事に帰ったらにしておくれ」
翌日、目的の遺跡を堪能して戻ると、
インフォメーションの兄ちゃんの横に居た偉丈夫が微笑んで待っていた。
改めて謝意を呈するとはにかんで
「いや、実は去年カンボジアに行っていてね…」
この偉丈夫氏は地元の警察官。
印度からカンボジア派遣の文民警察官として行っていた際ににわかに虫垂炎に襲われて苦悶する羽目になった。
最寄りに駐屯しているのは日本の自衛隊。
電話で照会するとわざわざ車輛で迎えに来てくれた。
自衛隊の軍医による手術は成功、その後しばらく
自衛隊のところで御世話になっていたらしい。
更に続く。
733 名前: おさかなくわえた名無しさん [sage] 投稿日: 2007/09/13(木) 00:19:07 ID:pTwC+efk
「ジャパンのアーミーは、素晴らしい連中ばかりだった…
臥せっている、ゆかりも無い外国人の自分に、必ず誰かが付き添ったり、
話をしに来てくれた。嬉しくて、特に親しくなった隊員に自分の○○(残念ながら、この品物が何だったのかは忘れました)を贈ったところ、
彼はいつも掛けていたサングラスを呉れた…
以前冗談で、サングラスを誉めて借りて掛けてみた事があるんだ…
『御礼にお返しは必要ありません、あなたの、いつも使っているものでしょうに!』
と言うと、
『御礼の品は受け取れませんが、
我々の友情の印に、御互いの愛用品を交換させて頂けるなら嬉しい』
と彼は言ったんだ。
『他に出来る事はありませんか』
と聞いたら、
『貴方がもし、日本人が困っているのに遭遇したら親切にしてあげて下さい』
と言っていた…
だから、君を見た時に何か出来ないかと思ってね…
こんな事では返しきれない友情を、日本の友人は示してくれた、だから御礼なんて」
必死に単語を並べ立てて、御礼を言ったおいらにその人は最後にこう言った。
「それじゃあ、日本で印度の人間に会ったら親切にしてやってくれ、
そしてそいつには『次に会った日本人に、そうしてやってくれ』
と伝えて欲しい…」。
その後、帰国して印度の人とは何人か縁もあったが、
そう伝える事になった人はまだ居ない。
けれどもこの約束を果たすのには、やぶさかではないつもりでいる。
…長々、昔話で相済みません。