私の愛猫「クロ」との思い出

クロ、元気か?

私と私のお布団のないそこで、どうやって寝てるのかい?

ちゃんとあったかくて気持ちいいところを見つけたか?

私は今でも寝床でおまえを待ってしまうよ。

肩とふとんの隙間にひょいと鼻を突っ込んで、しばらくふんふんと匂いを嗅いでから、
するすると入ってくるおまえのひんやりした体を。

私がいそいそと横向きにすると、おまえは背中をぴったり私の体につけて、
私の脇にお尻をぴったりはめ込んで、まっすぐな尻尾で私の頬を撫でてくれたね。

絹糸のような、とはお世辞にもいえない毛並みだけど、
君の体を撫でながら眠りにつける私はどんなに贅沢だったんだろう。

すかしっぺはめったにしなかったけど、あれは強烈だね、
もしそこでいい飼い主を見つけてるなら、やらない方が良いと思うよ。

おまえは私が出合った最初の家族だから、
私の今までを一番知ってくれてるのもおまえだから、
おまえがどこに行ってても、いつか会いに行くからね。

本当は、おまえに迎えにきて欲しいけど。

私の最後の瞬間に、
いつものように右肩のふとんの隙間から
するするっと入ってくれれば、どれだけ幸せな気持ちで逝けるだろう。

でも、人一倍好奇心の強かったおまえだから
空腹もない、病気も事故もない、悪さをする人もいないそこで
自由気ままに探検し放題で夢中になって、うっかり忘れたとしても
私は怒らないよ。思う存分遊びなさい。

もう苦しくもない、痛くもない、思うように動く元気な体を楽しんでおくれ。

いつか私もそこに行ったら、気の向いた時にでも会ってくれればいいよ。

今すぐにでも合いたいけど。夢の中でじらすのは意地悪すぎないかい?クロ。